闘病

「腎移植」とは?体験談・手術の流れ

腎移植とは

「腎移植」と耳にしたことはあるものの、実際にどのような手術かわかりませんよね。

本記事では体験をもとに手術の流れを記したいと思います。

 

ケイ君
ケイ君
腎移植って?
 先生
先生
移植の流れを説明しよう。

はじめに

末期腎不全の治療手段としての腎代替療法には、透析医療と「腎移植」があります。

今回、体験した「腎移植」についてのリアルな経験や、画像を記事にしたいと思います。

 

手術までの経緯

慢性腎不全と診断され、クレアチニンの値がジワジワと上がって行きました。

しかし、現実を受け入れられず、透析から逃げていたが、いよいよ透析開始になってしまいました。

透析とは、週3回、一回あたり4〜5時間と時間的拘束があり、QOL(生活の質)が下がりがちです。

その負担から解放されるために、「腎移植」を希望しましたが、移植を行うまでには最低でも初診から2ヶ月程度を要するとのことでした。

私の場合は、新型コロナ感染拡大に伴う手術の停止期間があったこともあり、表明してから、約1年を要しました。

データー 【2020年8月6日(手術日)現在】

レシピエント(腎臓の提供を受ける方)

 

  • 50歳10ヶ月
  • 男性、息子
  • 人工透析(血液透析):1年5ヶ月
  • サラリーマン 休職中
  • B型

 

ドナー(腎臓を提供する方)
  • 78歳9ヶ月
  • 女性、母
  • 大動脈剥離を10年前に発症
  • 年金暮らし
  • B型

生体腎移植の条件

レシピエント
  • 透析医療を受けている状態、もしくは透析医が必要となる直前の状態であること

私は、透析医療中に、心房細動、甲状腺亢進症を発症したが、移植前に治療することにより、移植にのぞめた。

ドナー
  • 6親等以内の血族、3親等以内の姻族
  • 70歳くらいまでが望ましい(75歳+α)
  • 心疾患、糖尿病、高血圧、肝疾患がある場合は、要検討

私の母は、心疾患(大動脈解離)があり、高血圧であり、78歳9ヶ月と条件としては、決して望ましくなく、ドナーとなりうるかものすごく不安であった。

しかし、面談や、4泊5日の検査入院や、心疾患の主治医の許可、組織適合検査を鑑みて、腎臓の提供が可能になりました。

レシピエント
ドナー O型 A型 B型 AB型
O型 適合(一致) 適合(不一致) 適合(不一致) 適合(不一致)
A型 不適合 適合(一致) 不適合 適合(不一致)
B型 不適合 不適合 適合(一致) 適合(不一致)
AB型 不適合 不適合 不適合 適合(一致)

手術までの流れ

面談

  • 移植外科医、移植コーディネーターと面談を行います。(血液型、既往歴、生活背景、ドナー情報などを詳細に把握するため)
  • 採血
  • ドナー候補が決まっている場合などは現在の状態の把握のため
  • スケジュール確認

今後のスケジュールに関しての説明を受ける

通院

  • ドナーについて
  • ドナーの選定や面談を適宜行う
  • 面談
  • 腎臓内科の移植担当医と行う

検査入院

レシピエント(2泊3日)
  1. 採血
  2. 尿検査
  3. 痰・咽頭検査
  4. 便検査
  5. レントゲン
  6. 心電図
  7. 心エコー
  8. 呼吸機能
  9. 糖負荷試験
  10. 胃カメラ
  11. CT
  12. 循環器内科
  13. 精神科
  14. 眼科
  15. 耳鼻科
  16. 歯科
  17. (婦人科)
ドナー(4泊5日)
  1. 採血
  2. 尿検査
  3. 痰・咽頭検査
  4. 便検査
  5. レントゲン
  6. 心電図
  7. 心エコー
  8. 呼吸機能
  9. 糖負荷試験
  10. 胃カメラ
  11. CT・核医学検査
  12. 眼科
  13. (婦人科)
  14. 精神科
  15. 循環器内科

 

術前通院

ドナーは腎機能検査を行う
レシピエントとドナー揃って来院し、組織適合検査を行う

手術入院

❶上表にて適合の場合(レシピエント、ドナー共にB型)
レシピエント

手術予定の4日前から外移植科病棟に入院

入院してすぐ、10時にPCR検査を受ける。(保険診療)、16時に「陰性」と判明し、無事、手術を受けれるようになりました

手術予定の3日前から免疫抑制剤を内服

手術の1〜2日前に手術の説明

手術日まで透析

 

❷上表にて不適合の場合

手術入院は、手術予定の4日前から移植外科病棟に入院

入院日より免疫抑制剤を内服

手術の1〜2日前に手術の説明

透析や血漿交換(拒絶反応を起こす交代を除去する)を行う

ドナー

血液型一致、適合、不適合にかかわらず、手術の前日か前々日に泌尿器科外科病棟へ入院

入院してすぐ、10時にPCR検査を受ける。(保険診療)、16時に「陰性」と判明し、無事、手術を受けれるようになりました。

手術当日

レシピエント・ドナー共に、朝一番(8:15)に手術室に向かう

手術

レシピエント
  • 手術時間 6〜7時間
  • 手術名 生体腎移植術

手術は全身麻酔下に行います。

下図のように、皮膚切開をし、ドナーから摘出した腎臓を体内につなげます。

 

手術直後に1〜2本のチューブ(尿のもれ、出血、感染を知らせるためのもの)が入っています。

ドナー
  • 手術時間 2〜3時間
  • 手術名 腹腔鏡下移植採取術

腎臓の機能が同じであれば左側、右側の腎臓の機能があまり良くない場合は右側の腎臓を提供します。左側の場合は腹腔鏡下での移植腎採取術が一般的です。

大腸、膵臓、脾臓を腎臓から外します

腎臓に周囲の脂肪をつけた状態で周りから外します

尿管を切断します

腎動脈と腎静脈を処理します5〜7cm皮膚切開から腎臓を取り出します

術後

レシピエント

ICU病棟で2泊3日過ごします

その後、外移植科病棟へ戻ります。

術後より、飲水1日あたり2〜3リットルを目標に水分摂取する

免疫抑制剤の適正濃度が保たれているか毎日7:30に採血

体調を見ながら歩行訓練を開始

経過に応じて徐々に常食管理(移植前は減塩食でした)

術後2〜3週間後退院

ドナー

泌尿器外科病棟へ戻ります

術後5〜7日後退院(母は、術後6日後でした)

手術を終えて

術後、様々な症状が現れるかもとのことでしたが、私の場合は特にこれといったことはなく、しいてあげれば、鼻がつまり、のどが腫れていたので、呼吸が苦しく、酸素吸入をつけたくらいでした。

今後、あらわれまいとも限らないので、注視したいと思います。

免疫抑制剤も飲み続けないといけません。

不安は尽きませんが、とりあえず手術を終えてほっとしたというのが実感です。

今後、この記事以外にもその後について記したいと思いますが、とりあえず、記事を締めたいと思います。